おむすびの具材として、どちらも人気のたらこと明太子。売り場に並んでいるとよく似ていますが、この二つは何が違うのだろうと思われたことはありませんか。

結論から言えば、もとは同じ魚の卵です。違いは、そのあとの味付けにあります。ここでは何がどう違うのかを整理しながら、おむすびの具材としてのそれぞれの持ち味をお話しします。

たらこと明太子は、もとは同じ魚の卵

どちらも、スケトウダラという魚の卵巣から作られます。

スケトウダラは北の海にいるタラの仲間で、その卵巣を塩漬けにしたものが「たらこ」。そして同じ卵巣を、唐辛子を使った調味液で味付けしたものが「明太子」(正しくは辛子明太子)です。

つまり、たらこと明太子は別の魚から採れるわけではありません。同じ材料を、どう仕上げるかの違いなのです。

違いは「唐辛子で味付けしてあるかどうか」

あらためて並べると、次のようになります。

たらこ 明太子(辛子明太子)
原料 スケトウダラなどの卵巣 スケトウダラの卵巣
味付け 塩漬けが基本 唐辛子入りの調味液に漬け込む
辛さ 辛くない ピリッとした辛さがある
味わい 卵そのものの塩気と旨味 唐辛子や調味液の風味が加わる

器に盛った明太子と、皿に並べた一腹の辛子明太子 — 表面に唐辛子がまぶされ、たらこより赤みが強い

たらこは塩漬けが基本なので、卵そのものの味がまっすぐ出ます。粒のつぶつぶした食感と、じんわりした塩気と旨味。素材の輪郭がはっきりしているぶん、火を通したときの変化も分かりやすい具材です。

明太子は、そこに唐辛子の辛さと調味液の風味が重なります。味の要素が一枚多いと考えると分かりやすいかもしれません。辛さの強さや調味液の中身は作り手によってさまざまで、同じ「明太子」でも味わいがずいぶん違います。

なぜ「明太子」という名前なのか

たらこと違って、明太子は少し不思議な響きの名前です。これは日本語ではなく、朝鮮語から来た言葉だと言われています。

朝鮮語ではスケトウダラを「明太(ミョンテ)」と呼びます。その卵、つまり「明太の子」で明太子。名前そのものが原料を指しているわけです。

唐辛子で味付けした卵を食べる習慣は朝鮮半島にあり、それが日本へ伝わって広まった中心地が福岡でした。今も明太子が福岡の名物として知られているのは、この流れによるものです。

おむすびにするなら、どちらを選ぶ?

おむすび堂では、焼きたらこむすびと明太子むすびの両方をご用意しています。同じ魚の卵から生まれた二つですが、おむすびになったときの表情はずいぶん違います。

焼きたらこむすび — 海苔で包んだおむすびの上に、香ばしく焼いたたらこがのっている

焼きたらこむすびは、たらこにじっくり火を通しています。外は香ばしく、中はふっくら。ひとくち頬張れば、たらこの程よい塩気とお米の優しい甘みが口の中でホロリとほどけます。辛さがないぶん、お米の甘みがまっすぐ立ち上がるのがこのおむすびの持ち味です。辛いものが得意でない方や、お子さまにも召し上がっていただけます。

明太子むすび — 海苔で包んだおむすびの上に、粒立ちのよい明太子がのっている

明太子むすびは、みずみずしい粒立ちの明太子を包んでいます。ピリリとほどよい辛さが食欲をそそり、もうひとくち、と手が伸びる。辛さがお米の甘みを引き立てるのが、こちらの魅力です。

どちらも白米と玄米からお選びいただけます。玄米は香ばしさと噛みごたえがあるので、明太子の辛さと合わせると味わいがぐっと力強くなります。玄米のおむすびについては玄米のおむすびは、白米と何が違う?をご覧ください。

お米は岩手県滝沢市で育った「きらほ」という低アミロース米です。冷めても硬くなりにくいお米なので、少し時間が経ってから召し上がっていただいても、たらこや明太子の塩気とお米の甘みがきちんと響き合います。お米の話は「冷めても美味しい」低アミロース米とは?でくわしくご紹介しています。

まとめ

  • たらこと明太子は、どちらもスケトウダラの卵巣から作られる
  • 違いは味付け。塩漬けが「たらこ」、唐辛子入りの調味液に漬けたものが「明太子(辛子明太子)」
  • 「明太」は朝鮮語でスケトウダラのこと。福岡が日本での名物の地として知られている
  • おむすびにすると、たらこはお米の甘みがまっすぐ、明太子は辛さが甘みを引き立てる

同じ魚の卵から生まれた、味わいの違う二つのおむすび。押上にお越しの際は、ぜひ食べ比べてみてください。